日本では2018年6月29日に「働き方改革法案」が可決され、労働時間の短縮や同一労働同一賃金に向けて国や企業は動いています。
また、隣国の韓国でも働き方改革が行われ、日本よりも一足早く施行されました。
韓国ではどんな働き方改革が行われたのか、その概要や日本との違いについてご紹介しましょう。
韓国で行われている働き方改革とは?
韓国では「勤労基準法」に基づいて就労されていますが、日本同様に労働に関して様々な問題や課題を抱えています。
そこで行われたのが働き方改革で、2018年7月から改正勤労基準法が適用されました。
具体的な働き方改革は日本と同じく、長時間労働と正規・非正規社員の格差解消に焦点が向けられています。
労働時間の上限変更
韓国の労働時間上限は週68時間と解釈されていましたが、働き方改革により週最大52時間に変更されました。
週68時間という数字は、平日の労働時間が40時間、残業の上限が12時間、1日8時間上限の休日勤務2日分を加算したものです。
しかし、休日も1週間に含まれるのか、そうでないのかという解釈の違いが存在しました。
解釈の明文化を図るため、今回の判決で休日も1週間に含まれることになり、休日を含む週の労働時間が40時間となりました。
それに残業上限12時間を加算し、週最大52時間の規則に変わりました。
この規則を破ると事業主は2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられ、日本だと半年以下の懲役または30万円以下の罰金なのでより重い罰則となっています。
正規社員と非正規社員の格差解消
正規社員と非正規社員の格差解消は、非正規社員の正規職化と最低賃金の引き上げで対策を講じているようです。
非正規社員の正規職化に関しては法規制ではなく、政府が産業界に圧力をかけ、企業ごとに対策されています。
財閥系企業の一部は非正規社員を廃止したケースも見られます。
賃金引き上げに関しては、2020年までに最低賃金を時給1000円にすると、文大統領が公約しました。
それにより2年連続で引き上げられており、2019年は一律で約840円の引き上げが決定しています。
働き方改革導入の背景と日本の違い
韓国が働き方改革に乗り出した理由は、若手の失業率改善に狙いがあるようです。
若者の失業率は10%を超えており、就職難に陥る若者が多く存在します。
そこで韓国政府が描いたシナリオは労働時間を短縮させ、雇用を増やして失業率を下げようと改正に至ったのです。
労働時間が短くなればその分仕事を早く終わらせる必要があり、人手不足が生じます。
それを補うために若者を積極的に雇用する取り組みが増えるという仕組みです。
日本は韓国と真逆で企業が人材を確保できない採用難なので、同じ対策でも目的に違いが見られます。
働き方改革における課題
労働時間の改正は日本と同じくワークライフバランスの実現も含まれており、さらに最低賃金の全国一律引き上げは所得が増える利点があります。
しかし、この働き方改革には多くの課題も見えてきました。
労働時間が短くなっても追加雇用を検討する企業は少なく、業務時間の短縮で対応しているケースが多いようです。
また、残業代が少なくなるので所得減と感じている人が多く見られます。
最低賃金の引き下げに関しては全国一律なので物価が安い地域でも適用され、その影響で人件費が高くなると懸念されています。
経済成長が3%も満たない状況で人件費の上昇は中小企業にとって辛い立場に立たされるため、引き上げに批判的な声が相次いでいます。
韓国は若者の失業率を下げるために働き方改革に取り組んでいますが、残された課題も多くあります。
国民が納得できる労働環境を構築するためには、引き続き法の見直しや検討を重ねて、改善を繰り返すことが大事なのかもしれません。
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投稿日:2020年01月20日
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