ドイツは日本と比べて労働時間が短いものの、生産性は1.5倍を上回る結果を出しています。
日本と圧倒的な差が開いていますが、どのように生産性を高めているのでしょうか?
働き方改革の参考にしたいドイツの労働環境についてご紹介しましょう。
日本とドイツの比較
ドイツは自動車を始め技術大国として有名で、輸出額は世界第3位を誇ります。
日本は一つ下の第4位ですが、2倍以上の差があるようです。
世界第3位の輸出額を築いている理由は、付加価値の高い商品を世にお送り出しているからです。
ここで「労働生産性の国際比較2016年版」を基に日本とドイツを比較してみましょう。
1人あたりのGDP
日本 | 14,534/ドル |
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ドイツ | 48,839/ドル |
1人あたりの年間総労働時間
日本 | 1,719時間 |
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ドイツ | 1,371時間 |
1時間あたりの労働生産性
日本 | 42.1/ドル |
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ドイツ | 65.5ドル |
年間休日数
日本 | 137日 |
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ドイツ | 145日 |
ドイツの労働時間は日本よりも350時間少なく、年間休日数も多めです。
日本人の方がたくさん働いているものの、労働で生まれる価値はドイツに劣ることが分かっています。
ドイツの労働環境や意識について
労働に関する法規制の違いはもちろん、働く上での意識にも違いが見られます。
では、労働時間が短くても優れた生産性を生み出している理由をご紹介しましょう。
労働時間蓄積制度
法律で労働時間蓄積制度というものが定められています。
この制度は残業時間をある程度まで溜め、それを有給休暇として振替利用できる制度です。
残業した分を割増賃金ではなく休暇に変えることで、残業による長時間労働のインセンティブをなくすことが可能です。
残業代をあまり出したくない企業の本音とマッチした制度と言えます。
季節ごとの短期的な労働需要の変化に対しても、コストが上昇したり、従業員が増減したりするリスクを伴わず対応できます。
積極的な休暇取得
年次有給休暇は24日付与されており、会社によっては30日にもなります。
ドイツは有給休暇の取得率が高く、3週間の休暇を取ることも可能です。
従業員に限らず、経営者、医師、小売店なども積極的に休暇を取得しています。
プライベートの時間が確保しやすいので、労働のストレスの軽減効果があります。
また、休暇取得のために効率良く働こうという意識も芽生えるので、それが生産性の向上につながっているのでしょう。
一方、日本は有給取得率が世界最下位であり、休暇が取りにくい環境が根付いています。
ドイツは病気で取得する休暇は有給と別になっているので、病気で有給が消化される心配がありません。
日本では体調不良でも無理に出社するケースが多く、それは周りに風邪などを移すだけではなく、業務の効率性や生産性の低下を招きます。
働き方改革では休暇が取りやすい環境作りも求められる要素ではないでしょうか?
職務内容の明確な定義と権限委譲
ドイツでは職務内容に明確な定義があるので、やるべきことと、やらなくてもいいことがはっきりしています。
なので、定義にない仕事は指示を受けても拒否することが可能です。
また、日本は権限が委譲されておらず、報・連・相が徹底されています。
一方、ドイツは権限委譲が進んでおり、自分の裁量でどう対応するか意思決定が可能です。
無駄な作業が増えない分、業務効率の向上につながっています。
元々ドイツでは幼い頃からキャリア教育が徹底されているので自立や独立の意識が強く、上手にキャリアを積み上げています。
また、役職=役割という概念が強く、日本のようにヒエラルキーが強くありません。
組織内ではフラットな関係が構築されており、権限委譲により上司の顔色を伺う必要がないところも、生産性の高さに関わっていると考えます。
ドイツの労働環境を見てみると、単純に残業時間の短縮や長時間労働の是正が生産性の向上に関わっているわけではないと分かるでしょう。
法整備や企業ごとの環境整備、労働に対する個々の意識を変える働き方改革が求められるのではないでしょうか?
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投稿日:2020年03月02日
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